2017年11月23日木曜日

身体的成長 1年 中村陵馬


大学の入学前、大阪行きの切符を駅で購入しようとした時の出来事である。
これから始まる大阪での一人暮らしを前に、意気揚々とした気分で駅の窓口に足を運んだ。在中している駅員の方に切符を買う旨を伝えると、驚きの言葉が返ってきた。
「きみ、小学生?」
瞬間、私は戦慄した。大学生らしく髪を茶色に染め、ジージャンをはおり、黒のスキニーと黒スニーカーにより足長効果も演出した自分の努力はすべて無駄だったのだろうか。もちろん駅員さんも悪気があってこの言葉を発した訳では無いだろう。しかし、その言葉は初の一人暮らしを前に心踊らす私の心を折るには十分だった。

少し小話をしてしまったが、何が言いたいかというと、それほど私の身長は低く、見た目が幼いのである。

同回のM山からは、「(身長のことを)触れていいのか最初わからなかった。」と言わしめ、他の同回からはゴムチップ、またはとどろみの芝で姿が見えないなどと揶揄されるほどである。

そんな私であるが、小学生の頃から高校で引退するまで、FWというポジションをやっていた。FWといえば、キレキレのドリブルと一瞬のスピードで相手を抜き去るメッシや、圧倒的な高さと豪快なシュートで得点を奪うイブラなどを想像すると思うが、自分は一瞬のスピードで相手DFに近づきボールを奪い、その後圧倒的なフィジカルの差を見せつけられ吹っ飛ばされることでフリーキックを得るようなプレースタイルの選手だった。そんなプレーがレベルの高い相手に通用するわけもなく、自分の高校サッカーはピッチの外で終えた。それでも部活という枠組みでやる本気のサッカーは自分にとって満たされるものであったし、何よりサッカーが好きだったため、大学でサッカーをやることに何ら抵抗はなかった。

かねてより第一志望であった大阪大学に無事合格し、はじめに体育会サッカー部の体験に行った時は、そのレベルの高さに本当に驚いた。この中で自分がFWとしてチームに貢献しているビジョンが見えなかった。数日考えた末、私が出した結論はサイドハーフという新しいポジションに挑戦する、ということであった。その思考に至った過程には色々あったが、長くなるのでここでは省略することにする。そうして私の大学サッカーは新しいポジションでスタートした。

大学でサッカーをしていく中で、気づいたことがいくつかある。それは自分がどれだけサッカーのことを知らないか、ということである。今までの流れの中でなんとなくプレーしているだけで、チーム戦術や、考えてプレーすることを怠ってきたように思う。そういった面で阪大では指導者がいない分、一人一人が意識を高く持ち、漫然とやるのではなく、よりベストを求めてプレーしている。そういった先輩方や同期に囲まれてプレーすることは自分自身とても勉強になる。

また、自分がどれだけフィジカルが弱いか、ということも改めて認識させられた。いや、さっき吹っ飛ばされるプレースタイルとかほざいてたやん、と思うかもしれない。その通りである。だが高校までではそれでもある程度はやれていた。しかし大学の選手相手に感じる圧力は今までとは全然異なっていた。少し体をぶつけられただけで、まともにプレーできずボールを失ってしまう、一対一でスピードで簡単にちぎられる。今まで自分の体が小さいことを言い訳にして、それを補えるほどの努力をしてこなかった。いや、正確に言えば、足元の技術を磨けば、そういったものは必要ないと思っていた。だが、そういった小手先の技に頼ったプレーは大学サッカーでは今まで以上に通用しない。ある程度の体の強さがないと大学サッカーでは戦えない。そう感じた。

今年の総理大臣杯決勝、法政大学の右サイド8番は皆の記憶にまだ新しいだろう。試合前の整列、あれほど小さかった体は、試合が終盤になるにつれとてつもなく大きな存在となっていた。その姿に自分自身大きく感銘を受けた。体が小さくてもここまでやれる選手がいるということは、自分にとって勇気づけられるものであったし、目指すべき姿であると思った。

この部員ブログを書くにあたり、自分の考えや感じたことを見つめ直してきた。だが、当然のごとくそれらを書くだけで満足してはいけない。これから自分が阪大サッカー部に貢献できる選手になるためには、これらのことを踏まえて自分のすべきことを実践していかなければならない。フィジカル面の向上や戦術理解を深めるなどやらなければいけないことは山ほどある。そういったことをこなしていく中で、この阪大サッカー部で身体的にも人間的にも成長していきたいと思う。

1 件のコメント:

  1. 最後の写真のどこに中村くんが写っているのか分かりません👀🤣

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